地方創生における自治体の役割といえば、補助金を出したり、先行事例やキーパーソンを紹介したりといったサポート役が中心ですが、中にはこうした役割にとどまらず、人一倍目立って自らキーパーソンとして活躍する公務員も出現してきました。また、事業意欲のある民間人が現れるのを待つのではなく探し出して引っ張り込むといった動きも起きています。
羽後町の役場職員の佐藤正和さん(35)(以降、マサカズさん)はそんな元気ある公務員の一人で、イベントの際はおにぎりの被りものを被って現われたり、記念写真を撮ると真ん中でポーズを決めていたりすることで地域の盛り上げ役を担っています。
マサカズさんはかつて役場で地方創生の担当をしており、地域おこし協力隊が任期終了後も活躍する拠点を作るため「特定非営利活動法人(NPO法人)みらいの学校」の立ち上げに参画してきました。そして発足と同時に事務局長として出向し、公務員の出向としては最長の5年間、このNPO法人で活動してきました。
NPO法人の代表、副代表は協力隊の卒業生ですが、はじめのうちは彼らだけでは大変なので役場も伴走する必要があると思いました。町長に直談判したら二つ返事でオッケーしてもらい出向することになりました。
そんなマサカズさんにNPO法人みらいの学校の役割と羽後町活性化への想いについてお話をお伺いしました。
NPO法人みらいの学校の活動
みらいの学校というネーミングには町の大人たちのマインドをも変えていきたいという想いも込められているそうです。
進学や就職で都会に出た子どもが地元に戻ろうかなと言うと、親たちが、『帰るなら役場か郵便局、教職のような安定した職業に就け』と言うんです。それだと帰って来られるのは同級生が100人いたら5人もいないと思いました。だから地元に魅力的な企業があることを発信して、子どもだけじゃなく大人も考え方を変えていく必要があると思ったんです。
NPO法人みらいの学校の活動は大きく3つあります。1つめに子どものキャリア教育、2つめに地域の情報発信を担うローカルメディアの運営、3つめに企業支援です。
1つめのキャリア教育では、「しごとーい」というイベントを毎年2回開催し、小学生がさまざまな職業に就いて働き、お給料をもらうという、社会人の疑似体験ができるイベントを実施しています。この「しごとーい」は「仕事」「問い」「TOY」を組み合わせた言葉です。その名の通り楽しみながら仕事とは何かを考えることを目的としており、「仕事は自分で作ってもよい」というマインドを醸成する機会を提供しています。
2つめのローカルメディアでは、「UGO NEWS(ウゴニュー)」というウェブサイトで、地域おこし協力隊や大学生のインターン生が若者の視点から町の出来事を紹介しており、この活動はNPOの3つめの活動である企業支援も兼ねています。
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